はじめに
「自然に囲まれてのんびり暮らしたい」――そう思い立ち、医療職として離島へのIターンを検討している方も多いのではないでしょうか。私自身、管理職として派遣の看護師面談やIターン、Uターンの看護師採用面談をたくさん経験してきました。この記事では、実際に離島医療の現場に立って感じた“リアルな現実”と、それに対してどのような備えをしておくべきかを7つのポイントで解説します。
離島移住を成功させるために、ぜひ参考にしてください。
1. 医療機関の規模と「求められる役割の広さ」を理解しておく
医療機関の規模や運営方法により異なる部分がありますが、都市部のように職種ごとの担当が明確に分かれていないケースが多く、医療従事者ひとりひとりに求められる役割は非常に広範囲です。
- 看護師が事務処理や物品管理まで担うことも。
- 医療事務が患者対応からレセプト請求、時には物品調達までカバーする場合も。
- 訪問診察の際は看護師が医師を乗せて運転することも。
どんな業務が任されるのか、事前に医療機関へ確認しておくことが大切です。
2. 限られた設備・専門医との距離をどう埋めるか
- CTやMRIなどの高度な検査設備がない場合も。
- 専門医にすぐに相談できない環境で、初期判断が重要。
そのため、正確なトリアージ能力や患者の背景を把握する力が必要になります。搬送先の病院やドクターヘリの対応状況も把握しておきましょう。
また自身が出産をする際に産科がなく、地元へ里帰り出産や県本土で出産するケースもありますので、島内でどこまで医療が完結できるか事前に確認しておくことも重要です。
3. 災害・通信・物資の備えは“自分で守る”意識が大切
離島では、台風や豪雨で物流が止まることも珍しくありません。
- 医療物品や衛生用品の在庫管理がシビア。
- 災害時の通信手段の確保も必須。
- 台風ではフェリー欠航により、食材がスーパーの棚から消えることもあります。
BCP(業務継続計画)を職場で確認し、自宅でも備蓄を怠らないことが安心につながります。
4. 地域との関係性が医療の質を左右する
離島では「地域を守る医療」が基本です。
- 行政・介護・消防との連携が日常的に求められます。
- あいさつや地域行事への参加が、信頼構築の第一歩になることも。
医療技術だけでなく、「顔の見える関係づくり」が重要です。
地域が小さければ小さいほど、この要素は強くなります。
5. 「閉鎖的」と感じる環境でも、信頼を積めば心強い味方に
島のコミュニティは狭く、最初は“よそ者”として見られることもあります。 ですが、誠実に向き合い続けることで、地域住民やスタッフとの信頼関係が築かれ、やがて大きなサポートを得られるようになります。また方言やイントネーションの違いで言葉を理解するまでに時間がかかります。
6. 心のケアと「孤立しない工夫」が必要
離島生活は、自然が豊かな反面、人との距離が遠くなることも。
- 気軽に相談できる場が少ない
- 都会と比べて娯楽やリフレッシュ手段が限られる
そのため、自分自身のメンタルを守るための「オンラインのつながり」や、定期的な帰省・休暇計画が重要になることもあります。
離島によっては雨が多く、思い描いてた自然を満喫できないといったケースもあります。事前に年間の天候を調べておくのも重要です。
7. 離島ならではの“やりがい”と“豊かさ”がある
- 通勤ストレスが少ない
- 患者さんとの距離が近く、「ありがとう」がダイレクトに届く
- 子どもと過ごす時間、空と海の癒し…日常そのものがご褒美に
都会では味わえない“生活の豊かさ”が、離島にはあります。
おわりに
離島で医療職として働くことは、確かに簡単なことではありません。でも、地域に貢献している実感や、自然に包まれた暮らしは、何にも代えがたい価値があります。
「離島で働いてみたい」「でも不安がある」そんな方の参考になれば幸いです。
💬 離島移住・医療職転職についての質問があれば、コメントやお問い合わせからお気軽にどうぞ!