はじめに
病院やクリニックで働く医療事務の皆さん。日々の業務の中で「診療時間の変更」や「医師体制の変更」に伴う行政への届出対応を経験されたことはありますか?
これは毎年のように発生する業務ではなく、医師の退職や新規採用など、診療体制の変化があったときに限られるため、経験したことがないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、筆者が実際に経験した「医師体制の減少による診療時間変更」に伴う、都道府県および厚生局への届出手続きの具体的な流れについて、実務目線で詳しくご紹介します。
目次
診療時間変更が必要になるケースとは?
病院・クリニックにおいて診療時間の変更が必要になる主なケースは以下の通りです。
- 医師の退職や採用による診療体制の変更
- 医師の勤務日数や時間の変更
- 夜間診療・休日診療体制の見直し
- 医療機関の経営方針や患者数に応じた対応
特に、保険医療機関として届け出ている内容に変更がある場合には、行政機関への届出が必須です。対応を怠ると、保険診療に支障が出る可能性もあるため、注意が必要です。
都道府県への届出手続きの流れ
まず対応すべきは、医療機関所在地の都道府県への届出です。主に「開設届事項一部変更届(※名称は自治体により異なる)」を提出します。
1. 書類の準備
都道府県の担当部署から、以下の書類をダウンロードします(自治体によってオンライン対応の有無は異なります)。
- 開設届事項一部変更届
記載内容:- 医療機関名
- 開設許可年月日および開設日
- 変更年月日
- 変更理由(例:医師の退職に伴い診療時間を見直した等)
- 診療時間の変更内容(変更前・変更後)
2. 添付資料の作成
以下の資料を添付します。
- 診療に従事する医師の状況(所定の様式アリ)
- 医師名、職種(医師または歯科医師)、担当診療科
- 診療日、診療時間、医師免許登録番号・登録年月日、採用年月日などを明記
- 医師免許証の写し(新規医師の登録・変更がある場合)
3. 提出
以上をセットにして、都道府県の医療担当課へ提出します。
※自治体によっては窓口提出や郵送、オンライン申請など方法が異なります。
厚生局への届出手続きの流れ
都道府県での変更手続きが完了したら、次は厚生局(地方厚生局)への対応です。
厚生局では、保険診療に関わる情報の変更を届け出る必要があります。
1. 保険医療機関届出事項変更届の記載
厚生局の公式サイトから「保険医療機関届出事項変更(異動)届」をダウンロードし、該当部分のみを記入します。
- 保険医欄
医師が退職した場合、その氏名、保険医登録番号、勤務形態(常勤or非常勤)、医籍等登録番号、変更年月日、担当診療科などを記載します。 - その他の変更欄
診療時間の変更内容(変更前・変更後)および変更年月日を記載します。
2. 添付書類
都道府県へ提出した「開設届事項一部変更届」の受付印がある写しを添付します。これが届出内容の証明となります。
手続きの注意点とスケジュール管理
以下の点に注意しましょう。
- 都道府県への届出は「変更後10日以内」が原則
※自治体によって異なるため、事前に確認することが重要です。 - 書類の準備や押印に時間がかかる場合もあるため、早めの準備が鍵です。私の自治体では変更後の届出となっており、事前に書類を受け付けてもらうことが出来ませんでした。
- 届出順序は「都道府県 → 厚生局」**が基本。順番を誤ると手続きが受理されないことがあります。
まとめ
診療時間や医師体制の変更は、患者さんへの影響だけでなく、行政への対応も求められる重要な業務です。
特に保険医療機関として届け出ている情報に変更がある場合、都道府県・厚生局の両方へ速やかな対応が必要です。
今回ご紹介した流れは一例ですが、自治体や地域厚生局によって様式や提出先が異なる場合があります。まずは所管の担当部署に確認し、確実かつ迅速な対応を心がけましょう。
医療事務関連の体験記事を今後も掲載予定です。ブックマークやシェアしていただけると嬉しいです。
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